さまざまな場所で耳にする「食品ロス」という言葉。

この言葉、なんとなく「食べ物のムダ」ということは分かっていても、具体的にどのような問題なのか知っていますか？今回は、この「食品ロス」について、基本から分かりやすく説明します。

「食品ロス」とは？

食品ロスとは、その名の通り「まだ食べられるのに、捨てられてしまう食品」のことです。

例えば、以下のようなものが含まれます。

これらはすべて「食品ロス」です。

深刻な「食品ロス」の現状

では、実際に日本では一体どれくらいの食品ロスが発生しているのでしょう。

環境省と農林水産省の推計（令和5年度）によると、日本国内の食品ロス量は、年間約464万トンにもなるそうです。

「464万トン」という数字は想像しにくいかもしれませんが、例えば、これは世界中で食料に困っている人々へ支援される食料の量（2023年実績で約370万トン）を約1.3倍も上回る量です。

これを私たち国民一人当たりに換算すると、年間約37kg。つまり、「毎日、おにぎり1個分（約100g）の食品を”捨てている”」計算になります。

こう聞くと、非常に身近で深刻な問題だと感じられませんか？

食品ロスはどこから発生する？

この膨大な量の食品ロス（約464万トン）は、大きく2つの発生源に分けられます。

• 事業系食品ロス：約231万トン食品メーカー、飲食店、スーパーマーケットなど、事業活動から出るロス。規格外品、売れ残り、飲食店の食べ残しなど

• 家庭系食品ロス：約233万トン各家庭から出るロス。食べ残し、賞味期限切れによる廃棄、調理時の過剰な除去など

驚くことに、私たち一般家庭から出る量と、事業活動から出る量が、ほぼ半分ずつとなっています。食品ロスは、社会全体だけでなく、私たちの家庭生活にも深く関わっていることがわかります。

国の取り組みや法律

もちろん、この「もったいない」状況を改善するため、国も対策を進めています。

食品ロス削減推進法（2019年施行）
国や自治体、事業者が連携し、社会全体で食品ロス削減を推進するための法律です。「国民の間に広く食品ロスの削減に関する意識と関心を深める」ことも目的としています。

食品リサイクル法（2001年施行）
こちらは主に事業者向けで、食品廃棄物の発生抑制と、発生したものの有効活用（飼料や肥料へのリサイクル）を促す法律です。

国の削減目標とその進捗

こうした法律に基づき、国は「2030年度までに食品ロスを2000年度（約980万トン）から半減させる（約489万トンにする）」という大きな目標を掲げています。

記事の冒頭で紹介した最新の推計値（年間約464万トン）は、この2030年度の全体目標をすでに達成していることを示しています。

しかし、内訳を見ると、重要な課題も見えてきます。

事業系食品ロス（お店や工場から出るロス） こちらは、事業者の皆さんの努力（リサイクルの推進、AI（人工知能）を活用した需要予測の精度向上など）により、2030年度目標（273万トン）を大きく下回る231万トンを達成しました。 この結果を受け、2024年3月に改定された国の「基本方針」では、「2050年度までに、さらに半減を目指す」という、より高い新たな目標が設定されています。

家庭系食品ロス（おうちから出るロス） 一方、こちらは2030年度目標（216万トン）に対し、実績は233万トンと、まだ目標を達成できていない状況です。

つまり、事業者の努力によって全体のロスは減っていますが、私たち一人ひとりの家庭から出るロスについては、さらなる削減努力が求められているのです。

私たち一人ひとりができること

法律や事業者の努力はもちろん重要ですが、データが示す通り、食品ロスの半分は私たちの日々の生活から発生しており、その削減は道半ばです。

だからこそ、私たち一人ひとりの「もったいない」という意識と、少しの行動が、この問題を解決する上で非常に大きな力となります。

まずは、そんな身近なところから少しずつ始めてみましょう。

「もったいない」を「おいしい」に変えるための仕組みも増えています。例えば、食品ロス削減を支援するマッチングサービスもその一つです。

こうしたサービスは、まだおいしく食べられるにも関わらず、廃棄の危機にある食品と、それを必要とする消費者をつなげる役割を果たします。

私たちが運営する「タベスケ」も、そうした取り組みを自治体と連携して進めているサービスの一つなんです。お住まいの地域やその近くで、また旅行先でも「タベスケ」があったらぜひ利用してみてくださいね。