食品ロス削減から貧困解決へ – 日本もったいない食品センターの取り組みと展望

タベスケでは、食品ロス削減や食品に関連する福祉活動を行っている事業者様にスポットを当て、インタビューを実施しております。

今回は、タベスケにも登録があり、全国に29店舗(※2024年10月末時点)展開されている食品ロス削減ショップecoeat(エコイート)を運営されている「NPO法人日本もったいない食品センター」の代表理事:高津博司(こうずひろし)様へお話をお伺いしました。

「食品ロス削減」に関する取組を始められたきっかけは何ですか。

もともと商社として事業を運営しています。その中で、賞味期限が近いまたは「季節もの」のような訳あり食品を取り扱う事が多くありました。

「余る量の食品は最初から寄付すれば良いのではないか」また「送料も考慮して、近隣の福祉施設に寄付しよう」と考え、利益度外視で寄贈先を見つける活動を行いました。

また、寄贈先の施設を見つける中で、国内の子供の貧困問題を目の当たりにし、食品ロスの削減よりも「貧困問題の解決」を優先して事業に取り組む事を意識しています。

取り組まれている具体的な活動について教えてください。

NPO法人「日本もったいない食品センター」を運営するほか、食品ロスの削減、貧困問題などの解決を目的とした啓発活動、食品の寄付活動を行っています。

具体的には、行政への指導や講演、貧困家庭への寄付、フードバンクからの相談を受け付ける事もおこなっており、最近では食品ロス削減の観点から家電メーカーやアプリメーカー、住宅メーカーからのサービス構築に係る相談を受ける事もあります。

また、NPO法人の事業継続のために、食品ロス削減ショップecoeat(エコイート)を運営し、「もったいない」にきづいてもらう仕組み作りも行っています。

ecoeat(エコイート)では、廃棄予定の飲料や食品を買取または無償で引き取り、その中から賞味期限残にかかわらず安全かつ美味しく食べていただける食品を提供しています。来店いただいたお客様には、直接商品の提案をおこない、本店での食品の購入が食品ロスの削減と貧困問題の解決につながっている旨もご案内しています。

取組の中で工夫した点、こだわりのある点を教えてください。

元々商社である事から、商品を安く仕入れられる事が、我々の強みだと考えています。仕入の際には、持続可能性を意識した仕入を行い、単なるボランティアとしてではなく、今後も食品ロスの削減・貧困問題解決への取り組みを継続できるようノウハウを活用しています。また、寄贈先の施設を見つける中で、とある母子寮の子供たちと触れ合う機会がありました。

複雑な環境にある子どもたちへお菓子を寄付する中で、大人は社会制度である程度守られるが、子供たちはまだ知識もなくうまく生きられない現状を痛感しました。
これらの経験から、取組の中で、ただ食品を寄付・支援するだけではなく、食について学ぶ場を作る事が、本当の支援になると考えました。

取組を通した効果について教えてください。

食品ロスの数値化が明確にできたほか、それらを参考にしながらecoeat(エコイート)のブランディングで食品ロスの削減効果も可視化しつつ感じられています。また、消費者意識を高めていく事にも寄与できていると取組みを通して感じています。

どのような食品の取扱いが多いですか、またニーズがありますか。

通常の商品販売に似て、やはり「認知度の高い食品」のニーズが高く、売れやすい傾向にあります。また、基本的にロングセラー品のようなものは食品ロスになりづらいため、「季節もの」の限定食品などを扱う事が多いです。また、防災備蓄食品やレトルト食品のような賞味期限の長い食品などは、扱う事が少ないですね。

現在の取り組みの課題点、改善点などあれば教えてください。

ecoeat(エコイート)の運営には、課題点・改善点があると考えています。ecoeat(エコイート)は、食品の販売だけでなく、その土地の福祉施設へ寄付をおこなうための支援拠点にもなります。今後、より多くの地域で支援を広げていくためにも、ecoeat(エコイート)の事業拡大が必要だと考えています。

また、一方で店舗が増えれば、店舗での人材育成を行う必要もあります。店によって個性や特徴が出てくるのは良い点でもありますが、啓発活動の質を落とすわけにはいきません。お客様に対して、食品ロス削減と貧困問題の解決をしっかり提案できる店舗を、今後増やしていく必要があります。

これからの活動目標、展望について教えてください。

当初からの目標である「国内貧困ゼロ」を目指します。また、食品についての知識をより多くの方に知ってもらうため、教育事業の展開も行い、貧困の連鎖を断ち切る事が目標です。

食品ロス削減ショップecoeat(エコイート)は、タベスケ上でも姫路市で登録・運用いただいています(※2024年10月末時点)。

弊社事務所の近くには「ecoeat 東三国店」があり、実際に訪問させていただきましたが、店内にはよく見る食品から海外の食品まで幅広くラインナップされており、平日のお昼でしたが10人あまりのお客さんが出入りしている状況でにぎわっていました!

店長の山下様からは、以下のようなお店の商品に関するご説明や、食品ロス削減への考え方をお聞きしました。

「賞味期限が切れていても、すぐに味が落ちるわけではなく商品によっては美味しく食べられる期間がしばらく存在します。その期間をお店でもポップなどで紹介し、賞味期限は切れているけどもまだまだ美味しく食べられるという事を分かりやすく伝えています。」

「食品を廃棄すると、廃棄された食品を焼却処理するために余分なエネルギーもかかってしまいます。食品ロスを削減することはCO2を削減することにもつながり、エコ意識にもつながるんですよ。若い方ほど、賞味期限切れの食品をすぐに捨ててしまう傾向が多くみられますが、ぜひ「まだ食べられるんじゃないか、もったいないんじゃないか」と今一度食品と向き合ってみると良いかもしれませんね。」

ぜひ、みなさんの街にも食品ロス削減ショップecoeat(エコイート)を見つけられたら、活動の背景を感じつつ、商品を手に取ってみてください!

インタビュー協力

NPO法人日本もったいない食品センター 代表理事 高津博司様

NPO法人日本もったいない食品センターが運営する食品ロス削減ショップecoeat(エコイート)では廃棄予定の飲料や食品を買取または無償で引き取り、その中から賞味期限残にかかわらず安全かつ美味しく食べていただける食品のみを陳列しています。販売している商品をご購入いただくことでより多くの食品ロスを減らすこと、より多くの生活に困窮する方を救うことを目的としています。

WEBサイト: https://snhllc.wordpress.com/

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