職人の技術と、シェアリングの輪で。柏屋が目指す「廃棄ゼロ」への道のり

日本三大まんじゅうの一つ「薄皮饅頭」でおなじみの老舗菓子店、株式会社柏屋。伝統を守りながらも新たな挑戦を続ける同社に、食品ロス削減マッチングサービス「タベスケ」を導入された経緯や、実際の運用における工夫、そして導入によって生まれた効果についてお話を伺いました。
タベスケ導入を検討されたきっかけを教えてください。
きっかけは、知人のお菓子屋さん(福島市の清泉堂さん)から「タベスケやらないの?」と声をかけられたことです。最初は「何ですかそれ」という状態でしたが、話を聞き、行政と組んで取り組んでいる点も面白いと感じました。
私たちメーカーにとって、特に日持ちのしない洋菓子などが売れ残って捨てられてしまうのは、物悲しいものです。自分たちで食べるにも限界があります。そこで、「とりあえずやってみよう」というチャレンジ精神でスタートしました 。
実際に導入してみて、どのような効果がありましたか?
やはり廃棄量の削減につながっている点が挙げられます。
また、これまでご来店いただけなかった層が、タベスケでお得になっていることをきっかけに来店されるようになりました。食べたことのない商品をタベスケで試していただき、「これもう一回」とリピートにつながるケースもあります。
さらに、接客面でもプラスの効果がありました。常連のお客様とタベスケをきっかけに会話が生まれたり、使い方が分からない方へのご案内を通じてコミュニケーションが増えたりと、コロナ禍で減っていたお客様との会話を取り戻すきっかけにもなっています。
ユーザーへのPRはどのように行っていますか?
当店はご年配のお客様が多く、デジタルの操作に慣れていない方もいらっしゃいます。そのため、販売スタッフが店頭で一緒に操作方法をお教えしながら進めることが多いです 。
行政から配布されたポスターも掲示していますが 、お客様はデジタルよりもアナログな情報に反応されることが多いですね。入り口のポスターやのぼり旗など、目につくアナログな販促ツールがあれば、「あれは何?」と聞いてもらえて、そこから話ができるのではないかと感じています。
出品時に気を付けていること、工夫されていることはありますか?
出品する商品は、主に洋菓子や日持ちの短い和菓子などが中心です。
お客様に安心して購入していただくため、商品情報の中には「賞味期限間近」といった出品理由などの説明もしっかり入れるようにしています。
社長から「出品商品の文言も魅力的に」という話があり、ただ出すだけでなく、お客様に興味を持ってもらえるような表現を心がけていますが、基本的には各店舗の裁量に任せて運用しています。

システム面では、一度出品した商品は情報をそのまま使って再出品できるため、店舗での登録作業の手間を省き、スムーズに投入できるよう工夫して活用しています。
タベスケでの廃棄削減だけでなく、メーカーとして商品そのもので取り組まれていることはありますか?
はい。そもそも廃棄を出さないために「賞味期限を延ばす」という技術開発にも力を入れています。 例えば、通常のどら焼きは日持ちが1週間から10日程度ですが、職人と試行錯誤を重ね、しっとりとした美味しさはそのままに30日間日持ちする商品を開発しました。水分活性をコントロールして菌の繁殖を抑える工夫をしています。

また、看板商品の「薄皮饅頭」も、商品そのものには手を加えず、パッケージ技術の向上によって賞味期限を8日から30日へと延ばすことに成功しました。日持ちが長くなれば、廃棄のリスクが減るだけでなく、お客様にとっても贈答品として使いやすくなるというメリットがあります。
老舗でありながら、新しい商品やバリエーションが豊富なのも印象的ですね。
ありがとうございます。実は商品開発は、マーケティング部の女性スタッフたちが中心となって行っています。 「今ある設備でどんな新しいことができるか」を柔軟に考えたり、他社さんのお菓子を参考にしたりしながら、伝統的なお菓子を現代風にアレンジしています。タベスケに出品する商品バリエーションが豊富なのも、こうした柔軟な開発体制があるからこそかもしれません。

今後のタベスケ活用についての展望を教えてください。
やはり、より多くの方にこのサービスを知っていただき、ユーザー数を増やしていきたいですね。本来であれば捨てなければならなかった商品が、皆さんの口に入るというのは、メーカーとして非常にありがたいことです。具体的に何をするかというのは難しい部分もありますが、ユーザーさんが増えればマッチングする確率も上がると思いますので、そこを目指していきたいと考えています。
伝統を守りながらも、フードシェアリングサービス「タベスケ」の導入や、賞味期限を延ばす技術開発など、常に新しいことに挑戦する姿勢が非常に印象的でした。
柏屋さんではタベスケの他にも、地域貢献活動の一環として「お互いさまチケット」という取り組みに参加しています。これは、来店したお客様が「見知らぬ誰か」のためにチケットを購入して店内に掲示し、食事や商品を必要としている人がそのチケットを使って無料でサービスを受けられるという「ペイフォワード(恩送り)」の仕組みです。 「震災をきっかけに、福島を『同情の街』ではなく『感謝と笑顔の街』にしたい」という亡き友人の遺志を継ぎ、地域全体で支え合う温かい街づくりにも積極的に取り組まれているそうです。
廃棄を減らしたいという純粋な思いと、それを楽しんで取り組む「チャレンジ精神」、また人と人とが支え合える仕組みづくりにより、地域のお客様との新たなつながりを生んでいるのだと感じました。この度はお忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
※本記事はインタビューの内容をもとに再編集して掲載しております。
インタビュー協力
株式会社柏屋
福島県内を中心に複数店舗を展開する柏屋(本店は郡山市)さんは、嘉永5年(1852年)創業の老舗菓子店。看板商品は「日本三大まんじゅう」の一つに数えられ、厳選された小豆と黒糖風味の薄い皮のバランスが絶妙な「柏屋薄皮饅頭」。このほか、フランス産「Kiri クリームチーズ」を100%使用した濃厚なチーズタルト「檸檬(れも)」や、バター風味の粒餡と松の実の香ばしさが楽しめる「嘉永餅(かえいもち)」など、伝統の和菓子から洋菓子まで、世代を超えて愛される銘菓を揃えています。


住所:福島県内を中心に複数店舗を展開。店舗情報は下記HPにてご確認ください。
WEBサイト: https://www.usukawa.co.jp/







